長野市の戸隠神社中社で1日、建て替え中の大鳥居の柱2本と、柱をつなぐ「貫(ぬき)」が建てられた。今後、この上に「笠木(かさぎ)」と「島木」を取り付けて銅板を張り、9月中に完成する予定。工事を見守った近くの住民らは新型コロナウイルス終息への思いも込めながら、末永く戸隠のシンボルに―と願っていた。
事前に貫と組み合わせた柱の高さは約11・5メートル。貫と柱はクレーン車で持ち上げた。これから柱と島木をつなぐ「ほぞ」には、「疫病鎮静」と記した。近くで長く民宿を営み、年齢面の不安もあって7月で宿を閉じた吉井一夫さん(72)は「観光客は少ない状態。大鳥居が新しくなるのを機に、元のにぎわいに戻ってほしい」と見上げていた。
今回の建て替えは、80年余前に造られたこれまでの大鳥居の老朽化に伴うもの。地元の曽根原宗則さん(94)は子どもの頃、大鳥居に使う材木を運ぶ様子を見た記憶があり「二つのそりで大木を引っ張っていた」と振り返った。「新しい大鳥居も長く愛されるようになってほしい」と話していた。