小布施町の北斎館が企画展「てくてく、ふらり、のんびり、旅する浮世絵」を開いている。江戸時代の浮世絵師葛飾北斎(1760~1849年)が全国各地を旅する中で題材にしてきた名所や、旅人が往来する様子などを丹念に描いた作品を紹介している。6月13日まで。
北斎の絵手本「北斎漫画」や「富嶽三十六景」など、北斎が50代以降に手掛けた約60点を展示した。同館の荒井美礼(みゆき)学芸員(31)によると、北斎は全国津々浦々を旅し、気に入った風景をスケッチ。当時は伊勢神宮や善光寺への参詣など庶民の間でも旅が盛んに行われ、風景画が人気を集めたという。「社会の流行を作るかのように、北斎が浮世絵による風景画のジャンルを確立した」と説明する。
全国の滝を紹介する「諸国瀧廻(たきめぐ)り」は、滝の水を写実的に描くのではなく、生命を宿したかのようにデフォルメ(変形)しているのが特徴。上松町にある小野の滝を描いた「木曽海道小野ノ瀑布(ばくふ)」は、途中で水しぶきを上げることなく、すとんと真下に落ちていくように表現。栃木県日光市の滝を題材にした「下総黒髪山きりふりの滝」は、滝の水が枝分かれして流れる様子を木が根を張るように描いた。
作中には、かさやみのを身に着けたり、つえを携帯したりしている人もおり、当時の風俗を知ることができる。午前9時~午後5時。入館料は大人千円、高校生500円、小中学生300円。