善光寺御開帳(4月5日〜5月31日)に向け、参拝客の誘客に力を入れる長野市松代町で、住民有志13人でつくる「松代箱膳(はこぜん)の会」が4月11日、食器の収納箱で膳としても使う伝統の「箱膳」で食事を体験する催しを始める。松代藩主真田家の邸宅だった真田邸(国史跡)を会場に、地域活性化を図る。13日は「おためし企画」があり、市などの関係者約20人が参加。意見を聞き、本番の参考にする。
同会によると、箱膳は室町時代に始まり、江戸時代以降に庶民にも広まった食事様式。昭和期にちゃぶ台が普及するまで多くの家庭で使われた。昨秋に発足した同会が、昔ながらの日本の食文化や姿勢を正して食べる作法に触れてほしいと企画した。
料理は一汁三菜が基本。かつて屋敷の池で飼い、大切な客人をもてなすごちそうだったコイのうま煮や、「信州の伝統野菜」の松代一本ねぎ、名産の長芋を使った会員手作りの料理が並ぶ。体験の参加者は、真田邸を見学した後、箱膳にまつわる話を聞きながら味わう。
「おためし」に参加した会社員の山口喜美衣(きみえ)さん(45)=千曲市=は「箱膳の食事は80歳の父から聞いていた通り。背筋が伸びる気がした」。会長の村松正子さんは「観光客にぜひ足を運んでもらい、文化財で地元の食材を味わってほしい」と張り切っている。
開始日以降5月30日までの毎週土曜日、午前11時に真田邸に集合する。1800円。申し込みは、長野商工会議所松代支部(電話026・278・2534)へ。