長野市のJR長野駅では、25日で運行を終える大阪行きの特急しなのを撮影する鉄道ファンらの姿も見られた=23日午後2時2分

長野市のJR長野駅では、25日で運行を終える大阪行きの特急しなのを撮影する鉄道ファンらの姿も見られた=23日午後2時2分

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さよなら、大阪発着「しなの」 25日最後の運行

信濃毎日新聞(2016年3月24日)

 長野―名古屋・大阪間を結ぶ特急「しなの」の大阪発着便(1日1往復)が25日、最後の運行を迎える。1971(昭和46)年に運転を開始。夜行を除いて国内最長の距離を走る特急だったが、名古屋―大阪間の利用率低迷などに伴い、26日のダイヤ改正で姿を消す。2005年に廃止された夜行の急行「ちくま」(長野―大阪)とともに、信州と関西を乗り換えなしで結ぶ列車として帰省客や観光客らに親しまれてきただけに、寂しがる声が出ている。

 「ラストラン」は大阪発が25日午前8時57分、長野発が同午後2時4分。23日も長野駅のホームには、鉄道ファンや観光客が、大阪に向かう「しなの16号」の行き先を示す方向幕などを写真に収めていた。廃止を知って東京都町田市から乗りに来た無職荒木隼人さん(26)は「全区間乗るのは初めて。いろいろな景色が楽しめるので廃止は残念」と話した。

 大阪発着の「しなの」の運行は、長野―塩尻間がJR東日本、塩尻―米原(滋賀県)間がJR東海、米原―大阪間がJR西日本と3社が担当。車両を所有するJR東海は廃止の理由について、「名古屋―大阪間の利用が20年間で半分以下に減少したため」(広報部)と説明する。名古屋―大阪間で新幹線を利用する人が増え、近年の名古屋―米原間の「しなの」利用客は、上下あわせて多い時の半分程度の1日200人弱。乗車率は2割程度にまで低迷していたという。

 大阪市出身の長野市の女性(69)は「高齢の母親が京都から長野に遊びに来る際、名古屋での乗り換えなしで来られたので安心だった。廃止は残念」と話す。

 小諸市出身で帰省に利用した大阪府東大阪市の掛川俊一さん(80)は「帰郷する際、列車に乗るのが楽しみだった」。大学卒業後、仕事の都合で50年近く大阪で暮らすが、冠婚葬祭などで信州に向かう際に使うのは「しなの」だった。97年に長野まで新幹線が開業してからは、東京経由で帰省することが増えたといい、「(大阪)直通便を懐かしむ思いがあるが、廃止は仕方がなく、時の流れを感じる」と話していた。

 25日の指定席券は23日午後7時時点で、長野発が9割以上、大阪発が約6割売れており、当日は多くの鉄道ファンが乗車し、別れを惜しむとみられる。

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