須坂市の二つの滝が落ちる景勝地「米子大瀑布(よなこだいばくふ)」の上に城があると思い込んで訪れる観光客が相次いでいる。NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニング映像で、滝の上に城があるように合成されたCG映像が使用されているためだ。市は、「NHKの番組スタッフが想像し制作した映像です」と書いた看板を登山道入り口に設置した。
米子大瀑布は標高約1500メートルにあり、落差85メートルの不動滝と同75メートルの権現滝の総称。ドラマオープニングでは、米子大瀑布の上に、岩櫃(いわびつ)山(群馬県東吾妻町)と、CGで作成した沼田城(同県沼田市)の天守閣の映像を組み合わせ、城の下部から滝が流れるように表現している。
NHKによると、映像は主人公の真田信繁(幸村)が自身の城を生涯持たなかったため、「信繁が理想の城を造ったという想像を働かせた」(広報部)という。
須坂市や市観光協会によると、ドラマ放送開始後、「滝の上にお城があるのか」「城に行けるのか」などの問い合わせが数件寄せられた。観光客が近くまで行けるようになった4月29日の「開山」後は、訪れた観光客からも同様の問い合わせが目立つ。
登山道入り口近くで売店を営む竹前儀幸さん(75)によると、営業を始めた今月2日以降、十数人から「上に城はあるのか」などと聞かれた。群馬や愛知など県外客のほか、長野市や上田市などの人もいたという。
竹前さんからの連絡を受け、市は6日、登山道入り口に看板を設置。市ホームページやブログなどでも「現地に城はない」と呼び掛けている。
竹前さんは「(テレビは)合成と説明するとみんな納得して、景色を楽しんで帰っていく」。市商業観光課は「雄大な景色を楽しめる場所。オープニング映像と比べつつ、滝だけの本来の景色を楽しんでほしい」と呼び掛けている。