小諸市の「こもろん味噌(みそ)」をご当地グルメとして定着させようと、小諸商工会議所や市内の飲食店が力を入れている。こもろん味噌は小諸産の黒大豆を原料とする濃厚な肉みそで、現在は市内13店舗がそばやスイーツなどに使って提供。口コミで注文が増えている店もあり、普及に向けて徐々に成果が表れている。
鉄板に載せた熱々のパスタから、香ばしいみその風味が漂う。「程よくくせのある香りが感じられ、パスタなので子どもにも受けます」。和食、洋食を扱う「HARADA」(相生町)の店主原田良太郎さん(47)が、オリジナルレシピ「コモローゼ」の出来栄えに胸を張る。こもろん味噌をトマトソースに混ぜた一品で、同店を訪れるたびに注文する客も増えているという。
同商議所は4年ほど前から、戦国時代から江戸時代初期の高僧で、群馬県太田市の寺の住職だった「呑龍(どんりゅう)上人」が小諸市にも滞在したことがある縁で、太田市の市民有志と交流。みそ入りの焼きそばを共にPRしてきた。小諸市の独自色を出そうとみそに絞り、昨夏に公募で命名したのが「こもろん味噌」だ。みそはさまざまな料理に使えるため、幅広い飲食店の参入を期待している。
一方、生産には課題も抱える。製造するのは現在、少量生産に対応する「こうじや商店」(御影新田)のみ。同店は黒大豆の栽培も手掛け、今年は計千平方メートルの畑で約120キロの収穫を見込むが、飲食店への提供は十分ではないという。代表の小山靖さん(52)は「黒大豆を作る農家が増えていくといい」と話す。
同商議所は今春、こもろん味噌を紹介するガイドブックを作り、料理を提供している店や家庭向けレシピなどを載せたホームページを開設。7月下旬には、11店舗で割引など(今月末まで有効)を受けられるチラシ3万枚を市民に配布した。各種催しでこもろん味噌を使った焼きそばを販売しており、今月の市民まつり「ドカンショ」では465食を完売した。
「今は市民に周知する段階。こもろん味噌が広まれば、飲食店や製造者、農家が潤う地産地消になる」と同商議所。原田さんの妻で、神奈川県出身の由美子さん(43)は「小諸にはよそがうらやむ食材がある。こもろん味噌をきっかけに、地元の人が小諸の良さに目を向けるようになってほしい」と期待する。