茅野市の山岳気象予報会社「ヤマテン」が、外国人登山客の増加に対応して英語版とハングル版の情報配信サービスをスタートする。現在の日本語版と同様、全国18山域・59山の山頂の気象予報を2日先まで、6時間ごとに提供する。7月1日に英語版はパソコンとスマートフォンで、ハングル版はパソコンで利用できるようにする。
提供する情報は天気、気温、風速、風向きと、お盆や年末年始、大型連休の前に発表する週間予報、雨雲レーダーなど。目的の山の名前が分からない外国人も、トップページの日本地図から直接アクセスできるようにする。
長野県内では、八ケ岳、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの計約30山の情報を提供する。
日本語版に掲載している気象予報士の解説や毎週木曜日の「今週末のおすすめ山域」は、英語版などでは閲覧できないが、低体温症や沢の増水、落雷といった生命に関わる情報は「警戒情報」として抜き出して提供し、注意を促す方針だ。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、長野県の外国人延べ宿泊者数は2016年に100万人を突破し、17年は131万8520人に上った。県観光部によると、外国人登山客数の統計は無いが、「着実に増えている」とみている。
これに伴い、県内の山域では外国人登山客の遭難事故も発生するようになった。中央アルプスでは、13年に韓国人パーティーが遭難して4人が亡くなる事故が起きている。
ヤマテンの猪熊隆之社長は「韓国には標高2千メートル超の山が無く、本格的な登山の経験者が少ない。欧米はハイキング感覚で軽装の人が目立つ」と指摘。「落雷や暴風の可能性を把握できれば、危険を回避できるはず」と話している。
同社は山小屋にチラシを置くなどして英語版、ハングル版をPRする。利用する際は「ヤマテン」のホームページから会員登録する。利用料金は月額300円(税別)。