全国公募の自主制作映画13本を上映する「福井映画祭12th」が12月1、2日、福井市の映画館「メトロ劇場」で開かれる。今回は補助金を一切使わず、会場を鯖江市内から福井市に変更し再スタートを切る。苦しい台所事情ながらおよそ2年ぶりの開催にこぎ着けた実行委は「偶然にも『居場所を求める』をキーワードにした作品が多く集まった。今の時代を色濃く反映した空気感を感じに来て」と呼び掛けている。
同映画祭は2006年に始まった。グランプリを受賞した作品が別の映画祭で最高賞に輝いたり、国際映画祭に正式出品されたり、質の高い作品が上映されている。全国的には珍しく時間を制限せず長編作品を受け付けており、短編で経験を積んだ監督が、新たに制作した長編を出品し腕試しをする場にもなっている。
毎年鯖江市内で開催していたが都合により会場を変更することになり体制を一新。協賛金を約20件かき集め、それでも足りない分は実行委のスタッフがポケットマネーを出し、なんとか開催費用を捻出した。
低予算の中、メトロ劇場に会場として利用させてもらえないか相談。1日は普段より安く鑑賞できる「映画の日」。丸2日間映画館を貸し出すことは、書き入れ時を逃すことになる。それでも館主の根岸輝尚さん(42)は「レベルの高い作品が集まっており、採算度外視でも応援するべきだと思った。スタッフの熱意にも押された」と承諾。さらに通常の半額以下で館を貸すことにした。
前回より65点多い277点が国内外から寄せられ、ヒューマンドラマや青春作品など長編4本、短編4本、アニメーション5本を厳選した。1日は午後1時に開演し長短編4本を上映。2日は午前11時からで午前中はアニメーション5本、午後は長短編を鑑賞できる。観客の採点でグランプリを決める。
酒井潤実行委員長は「興味深いことに、毎年たまたまキーワードが共通した映画が集まる。改めてたくさんの人に見に来てほしい」と話している。
チケットは前売り1日券1300円、同2日券2千円。当日券は1日券のみで1500円。高校生以下無料。同映画館で販売しているほか、映画祭のホームページから予約できる。問い合わせはメール=mail@fukuifilmfestival.jp