夏目漱石の学生時代の成績を記した手帳など、福井県越前市出身の哲学者で教育者の松本源太郎が残した成績帳や日記約50点を並べた展示が1月10日、福井市の県立こども歴史文化館で始まった。20日まで(15日は休館)。
松本は第一高等中学校(東京大の前身)で、漱石や正岡子規らを教えていた。成績帳は、松本が採点した論理学の成績とみられ、1888~89年の漱石の1学期は「80」、2学期は「90」で合計点数はクラスでトップだった。
松本は東京帝大学生時から最晩年まで約40年間、日記を書き続けた。今回は赤や青、茶色などカラフルな表紙で、手帳のような形をした日記を41冊展示。英国に留学した際の日記は英語で書かれており、松平春嶽の見舞いのために一時帰国したときには、漢字に切り替わっている。
熊本の第五高等学校(現熊本大)で英語の教員をしていた漱石と上司、部下の関係だった時期には「しばらく夏目宅で休んで、4時を過ぎて帰った」といった内容の交流録も記されている。
日記には銭湯や散髪に行ったことなども細かく書かれており、几帳面(きちょうめん)だったことがうかがい知れる。
20日午後2時からは、漱石研究者の中島国彦・早稲田大名誉教授と長島裕子・同大講師の講演会を開く。