福井県福井市殿下地区の里山の活性化に取り組む有志グループ「こしのくに里山再生の会」が、害獣として駆除したシカ肉を使った「鹿カレー」を開発した。肉は、特製スパイスで下処理して特有の臭みを消し、柔らかな食感にした。ゴールデンウイーク以降に地区内の農家レストラン「かじかの里山殿下」で提供する予定。田畑を荒らす「厄介者」が地域おこしに一役買いそうだ。
シカやイノシシを捕獲している同会は、肉を利用したメニュー開発に取り組んでいる。鹿カレーは、イノシシ肉を使ったラーメンに続くジビエメニュー第2弾。春から夏にかけて肉がおいしくなるシカを活用しようと2月に開発を始めた。イノシシは春から脂が落ちるため、ラーメンの販売は3月で終了した。
数種類の調理法を試し、脂身が少ない肉質が煮込み料理に向いていることからカレーにたどり着いた。クミンなどを調合した特製スパイスを肉にもみ込んで下処理。イノシシとシカの骨から取ったスープで、焼き目を付けたシカ肉と野菜を煮込んだ。幅広い世代が楽しめるよう辛さは抑えた。
今月上旬に市中央公園で開かれたイベントで先行販売し、スパイシーな香りに誘われた人たちが列をつくるなど好評を得た。カレーが大好きという児童は「シカ肉は歯応えがあって最高。おいしい」とうれしそうに頬張っていた。
同会の松平成史代表理事(45)は「ジビエに価値を見いだし、今後も地域活性化の材料として活用していきたい」と話している。