霧ケ峰・八島ケ原湿原の南側にある山小屋「ヒュッテみさやま」(下諏訪町)が今年から冬季の喫茶営業を始める。例年はおおむね4月末〜10月末の営業だが、小屋番の三井悠さん(34)が「冬の霧ケ峰、八島ケ原湿原の素晴らしさを伝えたい」と冬季営業を決めた。三井さんは「雪に包まれる湿原の魅力を味わってほしい」と冬の客の訪れを心待ちにしている。
埼玉県所沢市出身の三井さんは「昔からよく訪れた霧ケ峰で働きたい」と2011年4月から小屋番に。三井さんによると、八島ケ原湿原は、冬の朝方に氷点下20度を観測する極寒。小屋で使う湧き水が凍るほどで、冬季は休業していた。
だが、その寒さは神秘的な景観を生む。霧氷をまとった木々は太陽に照らされ輝き、とてもきれいだ。積雪があれば、一帯をスノーシューで散策して動物の足跡を見つけるのも楽しい。雪がしんしんと降っている間は動物の鳴き声や沢の音が聞こえなくなり、「静まり返る冬独特の空気感に包まれる」と話す。
これまでも冬に湿原周辺を訪れる客はいたが、冬季に利用できるトイレや休憩場所はなく、お客さんの利便性を上げたい―との思いもあった。
宿泊ができるのは通常営業の11月4日まで。その後は、準備期間を経て、毎週金、土、日曜日の日中に喫茶の営業を行う。コーヒーなどの温かい飲み物や軽食を提供し、利用客にほっと一息ついてもらう。三井さんは「観光客だけでなく、地元の人にも冬の霧ケ峰の魅力をたくさん知ってほしい。ぜひ休憩に立ち寄って」と話している。