"放浪の天才画家"山下清(1922~71年)の生誕100年を記念した「山下清展 百年目の大回想」(福井県福井市美術館、福井新聞社、福井テレビでつくる実行委員会主催、福井信用金庫特別協賛)が9月3日、同美術館で開幕した。貼り絵やペン画など約190点が並び、丁寧な手業で描かれた古き良き日本の原風景が来場者の心を捉えている。
1940年、18歳だった山下清は養護施設を脱走し、全国津々浦々を14年間放浪した。並外れた記憶力で脳裏に焼き付けた旅先の景色を、放浪から帰った後に貼り絵で再現した。
極小の紙片と極細のこよりを貼り重ねて表現されたのどかな日本の四季。戦後復興から高度成長に至る激動期にあって、清の作品は本人の素朴な人柄も手伝い一大ブームを起こした。
10年ぶりの福井展。幼少期の鉛筆画から養護施設時代や放浪期の貼り絵、円熟期のペン画まで名作が会場を彩っている。11月6日まで。