地元ゆかりの作家の作品が多く並ぶ天龍村郷土美術館

地元ゆかりの作家の作品が多く並ぶ天龍村郷土美術館

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天龍村に美術館再び 昭和初期に設置後閉鎖、文化重んじた村の歴史も伝える拠点に

信濃毎日新聞(2023年11月18日)

 天龍村は18日、村文化センター「なんでも館」の2階を改修して整備した「天龍村郷土美術館」を開館する。村内では昭和初期の旧平岡村当時に美術館が設けられ、近代を代表する日本画家、荒木十畝(じっぽ)(1872~1944年)らの作品を展示したが、長く続かず閉鎖された経緯がある。文化を重んじたかつての村の歴史に再び光を当て、村外から訪れた人も楽しめる新たな拠点にしたい考えだ。

 広さは300平方メートル。絵画、彫刻、陶器など計52点を展示する。村を訪れたことがある荒木の日本画「蘆雁(ろがん)」のほか、飯田市南信濃木沢を拠点に活動した童画家の故・北島新平さんが「向方(むかがた)のお潔(きよ)め祭り」など村の芸能を描いた水彩画、阿南町出身の城田孝一郎さんの彫刻など、大半が地元ゆかりの作品だ。

 開館に向けて、新たに購入したり寄贈を受けたりした作品もあり、所蔵作品は200点余。展示を入れ替えながら紹介していく計画だ。

 村公民館長の鎌倉貞男さん(76)によると、1924(大正13)年に荒木ら美術家が天竜川の舟に乗って写生旅行に訪れた際、村で通船業を営んだ故・熊谷敬一さんが船頭を務めた。荒木と交流を続けた熊谷さんが村の文化を高めようと賛同者を募り、美術館設置を村に要望。1932(昭和7)年、旧平岡村役場の新築に合わせて2階に開設された。閉鎖の経緯は明らかでないが、鎌倉さんは「戦争の影響もあり、文化的なものに人やお金を割くことが後回しにされたのではないか」と推測する。

 村は住民による検討組織を設け、同組織が昨年、平岡地区に観光スポットが少ないことを踏まえてJR平岡駅と歩いて行き来できる「なんでも館」を有効活用しようと美術館の設置を答申。村は1900万円をかけて整備した。

 「小さな山村にできた美術館だが、大作もあり、多彩な作品がそろっている」と鎌倉さん。11月18~29日はプレオープンで入館無料。本オープンの12月1日からは高校生以上200円、中学生以下100円。月曜、祝日、月末は休館。

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