NPO法人ふくい路面電車とまちづくりの会(ROBA)は31日、「新時代の『並行在来線』を考える」と題した講演会を、福井市のアオッサで開いた。講師の京都大大学院の中川大教授は「鉄道にとって、運行ダイヤは最も重要な商品の質」とした上で「便利で分かりやすいダイヤを提供することで、並行在来線はお荷物でなく、地域にとって大きな強みになる」と主張した。
ROBAは「地域交通を考えるシリーズ」として定期的に講演会を開いており、今回は市民や行政担当者ら約150人が参加した。
中川教授は並行在来線の意義について「地域のために生かすことができる鉄道。しかし、活用の方策を見いだせていないのが現状」と述べた。
北陸新幹線金沢開業によって経営分離された富山県の第三セクター、あいの風とやま鉄道などのダイヤを紹介。同じ駅での発車時間が等間隔でなく不規則であるとし「利用者にとっては分かりづらく、利便性は高まっていない」と述べた。またバスのダイヤについても、列車との接続を考慮した場合、列車同様に不規則になってしまうとした。
原因として並行在来線の意思決定の流れを指摘。一般的には「利用動向調査↓需要予測↓需要予測をもとに運賃決定↓開業直前にダイヤを決定」とし、「売れる量(需要)を最初に決めてから、最後に商品の質(ダイヤ)を決めている。良いサービスを提供して、たくさんの人に乗ってもらうという発想が全くない」と話した。
北陸新幹線によって、並行在来線がJRから経営分離されることについては「自分たちの手に在来線を取り戻すことができるということ。分かりやすいダイヤに作り直せるということ」と指摘。「新幹線福井駅に降り立てば、洗練された交通機関が連携し、すみずみまで行くことができると言われるようになってほしい」と要望した。