茅野市蓼科高原を晩年の仕事場とした小津安二郎監督(1903〜63年)にちなむ「第20回小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」が16日、同市で開幕した。住民ボランティアらでつくる実行委員会が24日までの9日間に、小津作品や最近の話題作など29作品を紹介。この日は2作品を市内の新星劇場で上映し、開幕を待ちわびた市民らが観賞した。
最初に上映したのは小津監督の無声映画「生(うま)れてはみたけれど」(1932年)。活動弁士の沢登翠さんが語りを務めた。開館前から熱心なファンが列を作り、席を確保するため館内に走り込む姿も。市内の主婦(69)は「無声映画を一度見たいと思った。今回の映画祭は見てみたい作品が多いので楽しみ」と話していた。
上映前のオープニングセレモニーでは、映画祭のボランティア養成講座でアナウンスを学んだ岡谷南高校(岡谷市)2年の藤森俊哉さん(16)=諏訪郡下諏訪町=が司会を務めた。会場を埋めた約150人を前に、「大勢の観客を見て、映画祭20年の重みを感じた。緊張したけれど、そこで司会ができたことは自信になる」と話していた。