住民が醸造したどぶろくを酌み交わす「どぶろく祭り」が伝わる茅野市で、発酵を止める「火入れ」をしない生どぶろくを提供する「麹(こうじ)カフェ醸し丸」が6月9日にオープンする。みそ製造を手掛ける丸井伊藤商店(宮川)が、発酵文化をアピールして市の活性化に役立てようと自社みそ蔵に併設する。伊藤英一郎社長(55)によると、生どぶろくは発酵し続けるため流通させるのは難しく、カフェで本来の風味を満喫してほしいとしている。
生どぶろくは火入れしたどぶろくと異なり、しゅわしゅわとした口当たりと甘酸っぱい味が特徴という。同社は信州産の原料にこだわり、同市湖東笹原産の酒米と県内発祥のアルプス酵母、八ケ岳山麓の伏流水で仕込む。伊藤社長は「少量生産だからこそできるこだわりの品」と意気込む。
オープンに向けて仕込みを始めており、アルコール度数14度を目指すという。カフェでは720ミリリットル入りの瓶を1400円前後で提供する予定だ。
昭和初期に建築され、近年は使っていなかった木造2階建て住宅を改装した。既にプレオープンし、焼きおにぎりや豚肉のみそ焼きといった定食を提供している。開業費の一部はインターネットを通じて資金調達するクラウドファンディングで賄う。
伊藤社長は、恒例のそば祭りなどで市中心部がにぎわっても、普段は人通りが少ないことを寂しく感じていたとし、「市中心部に話題をつくり、にぎわいを取り戻したい」と話している。