高島藩主諏訪家の菩提(ぼだい)寺、温泉寺(諏訪市)に残されていた古い家具が、8代藩主諏訪忠恕(ただみち)に嫁いだ烈姫(江戸幕府老中松平定信の娘、後の清昌院)所有の道具だった可能性があることが分かった。諏訪市博物館が嫁入り200年を記念して7日から開く企画展「清昌院と諏訪の雛(ひな)人形」で初めて展示する。
家具は犬張子(はりこ)(犬筥(ばこ))と呼ばれる犬を模した紙製の箱。安産を願い、出産時に産室(うぶしつ)に置かれたお守りとされ、昨秋の調査で雌雄一組の犬張子が2対見つかった。大きさは幅約35センチ、奥行き約20センチ、高さ約20センチ。犬張子としては最大級になるという。
市博物館によると、1951(昭和26)年編さんの「諏訪史蹟(しせき)要項」は、清昌院が使った品々の項目に「犬はりこ大小二組」と記している。調査の際、犬張子の保管箱から「諏訪家から寄付」とのメモが出てきており、清昌院の道具と判断した。
犬張子には金箔(きんぱく)と、赤、青、緑といった派手な色が施されており、当時の輝きが残っているという。学芸員の左崎(さざき)祥子さん(26)は「清昌院の持ち物には豪華な品物が多い。犬張子もその可能性が高いと言える」としている。
企画展では、清昌院ゆかりの食器や絵巻などのほか、江戸初期から後期にかけてのひな人形を展示している。入場料は一般300円、小中学生150円。3月29日まで。