諏訪市のJR上諏訪駅近くにある市民交流拠点「すわまちくらぶ」は27日、戦前の一時期、諏訪地方に住んでいた作家横溝正史(1902〜81年)ゆかりの地を訪ねるツアーを開いた。代表作「犬神家の一族」のモデルになったとされる建物などを、郷土史愛好家ら十数人が巡った。
横溝は33(昭和8)年、肺病の療養のために富士見高原療養所(現富士見高原病院・諏訪郡富士見町)に入所。34年7月に現在の諏訪市に転居し、39年12月まで暮らした。
同市湖岸通りの諏訪湖ホテルでは、犬神家邸宅のモデルとされる別邸特別室「菊の間」や洋館「迎賓館」の外観を見学。人力車で市街地を案内している「信州すわ人力車」の渡辺考洋さん(39)が、菊の間近くの舟着き場を写した古い写真を示しながら、「昔はホテル近くまで湖が迫っていた。周辺の環境は変わったが、建物の外観は横溝が見ていた当時と変わらない」と説明した。
一行は、同市大手の旧産科医院裏など、市内3カ所の横溝の住居跡も訪ねた。渡辺さんは「横溝と諏訪との関わりを多くの人に知ってほしい」と話していた。