諏訪市湯の脇にある温泉寺は2日、明治維新まで存在した諏訪大社上社「神宮寺」でご神体とされた「御鉄塔」(市有形文化財)を10月15日に公開し、約150年前まで行われていた法要を再現すると発表した。明治時代の仏教排斥運動(廃仏毀釈(きしゃく))で取り壊された神宮寺ゆかりの仏像などを10月から公開する「諏訪神仏プロジェクト」に合わせて企画。温泉寺の瀧瑞厳(ずいがん)住職(49)は「地域の宝として広く知ってほしい」としている。
御鉄塔は石造り。神と仏を一体のものとして祭る文化「神仏習合」の象徴的存在で、ご神体として信仰の対象だった。瀧住職によると、かつては毎年10月16日に神宮寺の僧侶が御鉄塔に集まり、法要を行っていたという。
御鉄塔は廃仏毀釈に伴って温泉寺に移され、現在は温泉寺の「多宝塔」に納められている。7年目に1度、温泉寺の御柱祭(今年は10月30日)の時だけ関係者に公開しているが、今年は10月15日に特別開帳する。関係する16人の僧侶で法要を行い、写経を納めることで約150年前まで行われていた法要を再現する。諏訪大社上社の神職も祝詞を上げるという。
法要の様子は公開する予定。10月30日までは多宝塔の小窓から御鉄塔を見学できるようにする。瀧住職は「地域の活性化にもつなげたい。誠心誠意、心を込めてお経を納めたい」と話した。